賃貸物件がゴミ屋敷と化してしまうことを未然に防ぐためには、入居者が入居する前の「募集・審査の段階」で、そのリスクを可能な限り排除することが重要です。契約前にゴミ屋敷化する兆候を見極めることは容易ではありませんが、いくつかのポイントを押さえることで、トラブルのリスクを低減することができます。まず、最も基本的なポイントは、「入居希望者の面談を丁寧に行う」ことです。申込書の内容だけでなく、面談を通じて入居希望者の人柄、話し方、清潔感などを確認しましょう。特に、コミュニケーション能力や、質問に対する受け答えの誠実さなどは、入居後のトラブル発生率を予測する上で重要な情報となり得ます。あいまいな回答が多い、目を合わせないといった場合は、注意が必要かもしれません。次に、「過去の居住歴や退去理由を詳しく確認する」ことも有効です。前家賃の支払い状況はもちろんのこと、なぜ前の住居を退去したのか、その理由を具体的に尋ねてみましょう。もし、前の住居がゴミ屋敷化していたり、近隣トラブルを起こしていたりするような場合、正直に話すことは少ないかもしれませんが、不自然な説明や、何度も転居を繰り返している履歴は、リスクを示唆する可能性があります。可能であれば、前の大家や管理会社に問い合わせてみることも検討できます(ただし、個人情報保護の観点から難しい場合もあります)。また、「連帯保証人の確認を徹底する」ことも重要なポイントです。連帯保証人には、入居者が契約義務を履行しない場合に、その責任を負う能力が求められます。保証人の経済状況や、入居者との関係性を確認することで、万が一の際の回収リスクを低減できます。身寄りのない方や、保証人が見つからない方の場合、リスクが高いと判断されることもあります。さらに、「賃貸保証会社の利用を義務付ける」ことも有効な対策です。賃貸保証会社を利用することで、家賃滞納時の保証はもちろん、ゴミ屋屋敷化による原状回復費用の一部を保証してもらえる場合があります。入居審査の基準の一つとして賃貸保証会社の審査を設けることで、大家自身の審査能力を補完し、トラブル発生時のリスクを軽減できます。最後に、「契約時に賃貸契約書の内容を丁寧に説明する」ことも忘れてはなりません。ゴミの処理方法、近隣住民への配慮、清掃義務といった特約事項について、入居者が十分に理解し、同意していることを確認しましょう。
ゴミ屋敷化を防ぐための入居者募集・審査のポイント