現代におけるゴミ屋敷問題の新たな側面として、ネット通販の普及と、それによる過剰な物品の流入が「捨てられない理由」に拍車をかけている現状が挙げられます。かつてのゴミ屋敷は、外から物を拾ってくる、あるいは長年の生活用品が蓄積するといった形態が主流でしたが、今はスマートフォンの操作一つで、二十四時間いつでも簡単に新しいグッズが自宅に届きます。この便利さが、ストレスを買い物で解消しようとする現代人の心の隙間に入り込み、気づけば未開封の段ボール箱が部屋を埋め尽くす「現代型ゴミ屋敷」を産み出しています。当事者にとって、届いたばかりの箱は希望の象徴であり、中身を確認するまでは最高の自分を想像させてくれる魔法のグッズです。しかし、いざ箱を開け、中身を取り出して整理するという作業には多大なエネルギーが必要であり、日々の労働で疲弊した彼らにはその余力が残っていません。結局、期待だけを詰め込んだ段ボールは未開封のまま積み上げられ、その場所を確保するために古い物を捨てるという選択肢も、選択肢の多さゆえの決断疲れによって奪われてしまいます。また、大量の緩衝材や段ボールの処分という、現代特有の面倒な作業も、片付けを阻む大きな障壁となっています。捨てられない理由は、単なる所有欲ではなく、デジタル社会が生み出す「手軽な獲得」と「困難な廃棄」のアンバランスにあると言えるでしょう。このような環境を改善するためには、デジタルデトックスを行い、物理的な物の流入を遮断することが先決です。新しい物を手に入れることの快感よりも、何もない空間に身を置くことの開放感を脳に再学習させなければなりません。ワンクリックで物を買える便利さは、私たちの生活を豊かにする一方で、自制心を失えば容易に自らの城を監獄へと変えてしまいます。私たちは、便利すぎる社会の中で、あえて「持たないこと」の価値を見つめ直し、生活のダウンサイジングを図る知恵を身につける必要があります。