ゴミ屋敷問題において、特に深刻なケースとして挙げられるのが、高齢者の「セルフネグレクト」が原因で発生するゴミ屋敷です。セルフネグレクトとは、自己の健康や安全、衛生といった生活の基本的な事柄に対して無関心となり、その維持を怠る状態を指し、高齢者のゴミ屋敷化の背景に潜んでいることが多々あります。このような状況において、「地域包括支援センター」は、セルフネグレクト状態の高齢者を早期に発見し、適切な支援へと繋げるための重要な役割を担います。高齢者のセルフネグレクトの背景には、身体機能の低下、認知症の進行、うつ病などの精神疾患、孤独感、経済的困窮など、複数の要因が複合的に絡み合っています。これらの要因が、自己管理能力の低下を引き起こし、結果としてゴミの溜め込み、入浴の拒否、食事の偏り、医療機関の受診拒否といったセ行動ネグレクトの兆候となって現れます。地域包括支援センターは、これらの複雑な要因を多角的にアセスメントし、個々の高齢者の状況に応じた支援計画を立てるための専門知識と経験を持っています。地域包括支援センターの役割は、まず「早期発見」です。近隣住民、民生委員、介護ヘルパー、あるいは他の行政機関からの通報や相談を受け付け、セルフネグレクトの兆候が見られる高齢者を早期に発見する役割を担います。郵便物が溜まっている、異臭がする、痩せ細っている、不潔な状態である、といった小さな異変を見逃さずに、情報収集を行います。次に、「アセスメントと支援計画の策定」です。発見された高齢者に対し、地域包括支援センターの保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーといった専門職が連携し、身体的・精神的な健康状態、認知機能、生活状況、経済状況、家族との関係性などを総合的に評価します。そのアセスメントに基づき、ゴミの片付け支援はもちろん、介護サービスの導入、医療機関への受診勧奨、精神的なケア、経済的支援、見守り体制の構築など、多岐にわたる支援内容を盛り込んだ個別の支援計画を策定します。そして、「関係機関との連携と調整」も重要な役割です。セルフネグレクトは、一つの機関だけでは対応しきれない複雑な問題であるため、地域包括支援センターは、医療機関、介護サービス事業者、行政の他部署、地域のNPO法人など、様々な関係機関と連携し、支援内容の調整を行います。