賃貸物件がゴミ屋敷と化した状態で入居者が退去した場合、大家にとって大きな問題となるのが「原状回復費用」です。通常の使用による損耗は賃料に含まれるため大家負担ですが、ゴミ屋敷の場合、通常の使用範囲を超える損害が発生していることがほとんどです。しかし、大家が全ての費用を入居者に請求できるわけではなく、請求できる範囲には法的な制約があります。 原状回復費用の請求において、国土交通省のガイドラインでは「借主の故意・過失による傷や汚れにかかる費用」は借主負担とされています。ゴミ屋敷の場合、以下の項目が借主の負担となる可能性が高いです。 まず、最も大きな費用となるのが「ゴミの撤去費用」です。部屋に残された大量のゴミや不用品を運び出し、適切に処分するための費用は、原則として借主が負担します。特に、大型家具や家電、あるいは産業廃棄物など、特殊な処理が必要なゴミが含まれる場合は、費用がさらに高額になる傾向があります。 次に、「特殊清掃・消臭費用」です。ゴミ屋敷特有の異臭が部屋に染み付いている場合や、体液、汚物などによる汚損がある場合は、通常のハウスクリーニングでは対応できません。専門業者による特殊な薬剤を用いた消臭や消毒、汚染箇所の除去にかかる費用は、借主の故意・過失による損害とみなされ、請求の対象となります。 さらに、「建材の補修・交換費用」も請求対象となることがあります。ゴミの放置による床材や壁紙の腐食、カビの発生、害虫による食害など、建物の構造部分にまで損害が及んでいる場合、それらの補修や交換にかかる費用も借主に請求できる可能性があります。[8] ただし、経年劣化による損耗や、通常の使用範囲内の汚れについては、大家の負担となります。 しかし、大家が「修繕費用を全額入居者に請求すること」は基本的にできません。ダメージの程度や賃貸借契約の特約、入居期間など、様々な条件によって負担割合は異なり、最終的には裁判所の判断に委ねられることもあります。家賃滞納がある場合は、未払い賃料とその遅延損害金も合わせて請求することになります。 ゴミ屋敷の原状回復費用は高額になることが多いため、入居者との間で金銭的なトラブルに発展しやすい問題です。大家は、請求の法的根拠を明確にし、適正な範囲で費用を請求することが求められます。
ゴミ屋敷の原状回復費用大家が請求できる範囲とは